第12章 彼女のパフォーマンスを見る

高坂詩織はスマホを握りしめ、電話の向こうから聞こえてくる聞き慣れた呼び出し音に耳を澄ませていた。

この呼び出し音を、今日だけで十回近く聞いている。

一条彰人ははっきりとは言わないものの、その行動すべてがプレッシャーとなっていた。

彼女は深く息を吸い、結局は個室のドアの前まで引き返し、そっと手を上げてノックした。

個室の中の笑い声がしばし途切れ、長谷川隼人が口を開いた。「入れ」

ただ、少し不思議に思った。何も注文していないのに、誰だろうか、と。

高坂詩織は指でドアノブを掴み、静かに押し開けた。個室の照明は艶めかしいが、目の前のすべてをはっきりと見渡すには十分だった。

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