第17章 彼が彼女を探しに来た

久しく忘れていた記憶がいくつか蘇り、高坂詩織はしばらく廊下でぼんやりと立ち尽くしていたが、やがて興も冷め、一人でホテルの部屋に戻った。

やがてスマートフォンの震動が再びあり、彼女が目をやると、今度こそ一条彰人からの折り返しの電話だった。

「すぐに戻ってこい」

口火を切ったのは、拒絶を許さない四文字だった。

高坂詩織は眉をひそめる。「連絡はしたわ。それに、ちゃんと報告もした。交流会は明日もまだあるの」

「つまり、自分では戻らないと?」

電話の向こうは少し騒がしく、高坂詩織は彼が外にいるのだと無意識に思った。

「明日、終わったらすぐ帰るわ」

男は瞬時に電話を切った。

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