第24章 奉還

中山隆は高坂詩織をここまで連れてくると、一条彰人の姿を認め、合図を送った。

「一条社長、奥様をお連れいたしました。では、私はこれで失礼します」

そう言い残し、彼はその場を去った。

病室の入口で、二人は再び対峙する。まるで一時間前の小さな庭園での出来事が再現されたかのようだ。

高坂詩織は青白い顔で、下唇を噛み締め、深く息を吸い込んだ。

「彼女はどこ?」

見舞いや謝罪がしたいわけではない。ただ、綾瀬しずかが一体何を企んでいるのか、この目で確かめたかった。

一条彰人は視線を逸らし、背後のドアを一瞥した。

何かを察した高坂詩織は、ドアを開けようと一歩踏み出す。指がドアノブを...

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