第34章 暴く

男の態度が綾瀬しずかに自信を与えたのか、彼女は一瞬逡巡して口を閉ざした。

しばらくしてようやく口を開き、芝居がかった口調で言った。「一条奥様がお見舞いに来てくださっただけで、もう感謝しています。本当に、私に謝る必要なんてありません」

必要ないと言いつつも、暗に一条彰人の言い分を認めている。つまり、自分は高坂詩織に刺激されたのだと。

しかし、一条彰人はまっすぐ高坂詩織を見た。「謝れ」

「しずか先生が言っていた。この二日間、病院でも彼女の精神状態はかなり不安定で、今朝はリストカットまで試みたと。お前があの時屈辱を与えなければ、ここまで大きな心の傷にはならなかったはずだ」

彼はベ...

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