第57章 突発状況

この場所への懐かしさや未練が全くないと言えば、嘘になる。

しかし高坂詩織がそれ以上によく分かっているのは、この場所は彼女にとってとっくに家ではなくなっていたということだ。

空港へ向かう道すがら、高坂詩織はスマートフォンを取り出して確認したが、近々のフライトは見当たらなかった。

一番早くて深夜二時。

今はまだ夕暮れ時で、行く当てもない高坂詩織は、意を決して航空券を購入すると空港へ向かった。

待合室で一晩を過ごすつもりだった。

空港に着いて落ち着いた途端、一条彰人から電話がかかってきた。

高坂詩織は発信者の表示を見て、自分が春川市に着陸したこと、そして病院へ行ってから一...

ログインして続きを読む