第61章 彼は風呂に入っているので、不便です

「桐谷社長と電話してたの?」

高坂詩織が通話履歴を一瞥すると、なんと三分もの長さだった。

たとえ一条彰人が代わりに出たとしても、高坂詩織は不在だと一言告げるだけでいい。あるいは、そのまま電話を切って彼女の帰りを待つとか……。

なのに一条彰人は電話に出て、しかも三分も話していた。

考えなくても、話の内容はきっと彼女に関することに違いない。

ましてや今の一条彰人の眼差しは刺すように冷たく、一秒ごとに刃が飛んでくるかのようだ。

高坂詩織は息を吸い込み、この話題を自ら避けることにして、一条彰人に尋ねた。「あなたの服は届いた? もともと着ていたものはクリーニングに出したから、あと...

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