第103章 彼が自ら訪ねてきた

鈴木莉緒は振り返り、ソファにいる男を一瞥すると、また心が揺さぶられた。

時々、こんな自分が本当に嫌になる。いつも些細なことで簡単に感動してしまうのだから。

彼女は料理をテーブルに運び、ご飯を盛り、箸と茶碗を並べてから、森遥人のそばへ歩み寄った。

男は深く眠っているようで、彼女が部屋に入り、キッチンから料理を運んでくるかすかな物音でも目を覚ますことはなかった。

「森遥人」鈴木莉緒は彼を呼んだ。

瞼の下がぴくりと動き、睫毛が震え、森遥人は目を開けた。

鈴木莉緒の姿を認めると、彼はぱっと身を起こした。「いつ帰ってきたんだ?」

「数分前」鈴木莉緒は彼に尋ねた。「今日は忙しくなかったの?」

「忙し...

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