第114章 あなたがこうやって私を抱きしめると、私は眠れません

「動くな!」

 鈴木莉緒は瞬時に固まった。

 今の一言は、さっきまでの口調とは全く違う。

 その口調に滲む意味を、彼女は読み取ることができた。

「気分が、悪いんです」鈴木莉緒はこれ以上彼に囲われているわけにはいかなかった。窒息しそうだった。

 森遥人はようやく少し力を緩めた。

 鈴木莉緒は思い切り安堵の息をつき、この隙に彼から少しでも離れようと身じろぎした。だが、動こうとした途端、男は追いかけてきて、再び彼女を腕の中に抱きしめた。

「森遥人……」鈴木莉緒はそっと彼を押す。このままでは、眠ることなんてできない。

「おとなしく寝ろ」森遥人の呼吸はすでに変わっていた。荒々しく、そして...

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