第116章 食色、性である

鈴木莉緒は呆れ返った。「一体、何がしたいのよ」

「別に」――ただ、彼女が腹を立てつつも自分にはどうすることもできない、その様子が見たいだけだ。

「入って!」鈴木莉緒が再び怒鳴った。

森遥人は彼女が怒る様を見て、笑みを浮かべた。

そして、くるりと背を向け、寝室へと入っていく。

彼がドアを閉めた瞬間、鈴木莉緒はようやく安堵の息を漏らした。

彼女は玄関のドアを開けた。

「何してたのよ、こんなに遅くまで。全然開けないから」浅野静香が中へ足を踏み入れると、すぐさま玄関にある男性ものの革靴が目に入った。

彼女は部屋の奥に目をやり、「森遥人、いるの?」

「うん」鈴木莉緒は嘘をつかなかった。...

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