第122章 男は泥でできている

鈴木莉緒はベッドに横たわり、天井の照明をじっと見つめていた。

男の寝息が耳元で聞こえる。彼女の心は、すでに落ち着きを取り戻していた。

もしあの日、彼と一緒に海外へ行かなかったら。あのホテルに行かなかったら。あんなことが起きなければ、今頃二人はとっくに別々の道を歩んでいたかもしれない。

異国の地で同じ部屋にいると、本当に一線を越えやすいものだ。

こんな展開になってしまったことに、彼女はどんな気持ちなのか自分でも言い表せなかった。

ちらりと隣の男に視線を移す。

恵まれた精緻な顔立ちは、確かに人を魅了し、虜にする。

彼女は今でも現実味を感じられずにいた。どうして彼はこんな風になってしま...

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