第125章 勝手に動かないで、歌を歌ってあげる

「莉緒、濡れ衣だ」

その声はどれほど不当で、やるせない響きを帯びていただろうか。

莉緒はもう少しで信じそうになった。

だが、あのマネージャーが遥人に向ける眼差しを見れば、彼が言うほど無実でないことは明らかだった。

「本当に歌が聴きたいのか?」と遥人が訊ねる。

莉緒はその言葉に、心臓が跳ねた。「歌ってくれるの?」

「歌わない」

「……」莉緒は唇を噛みしめる。罵詈雑言が喉元まで出かかったが、なんとか飲み込んだ。

やはり、興が削がれてしまった。

莉緒が身を翻す。

遥人が彼女の手を掴み軽く引くと、彼女は彼の膝の上に崩れ落ちた。

「なにするの?」莉緒はもがいた。

「暴れるな。歌っ...

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