第130章 彼女の口紅は少し甘い

莉緒は知世の顔をじっと見つめた。まだ少し赤く腫れていたが、化粧をしているため、よく見なければわからない程度だ。

今日の彼女のメイクは以前よりも濃く、口紅も深い色をしている。裂けた口角を隠すためだろう。

朝早くに河野が訪ねてきて、朝食を食べた後すぐに、今度は知世から誘いの連絡があった。

彼女もなかなか忙しい。

「これ、あなたの服」知世は紙袋を莉緒に手渡した。「昨夜は、ありがとう」

莉緒はそれを受け取ると椅子に置き、「大丈夫?」と尋ねた。

知世は唇の端を引いてみせる。「ええ、大丈夫」

「昨夜は運が良かったわね。山で私たちに会えたんだから」莉緒はコーヒーを一口飲んだ。「河野はろくな男じ...

ログインして続きを読む