第201章 彼女をからかう勇気がない

百口あって弁解のしようがないとはこのことか、と加賀信也は今まさに実感していた。

法廷で負けたことのないこの口が、この時ばかりは、言葉を見つけられずにいた。

本来なら、彼女に本当の意味で「善人ではない」ということを思い知らせてやるべきなのだが、それで彼女を怖がらせてしまうのではないかと危惧してもいた。

彼女には、強引な手は似合わない。

加賀信也はふっと息を吐くと、自ら一歩下がり、両手を挙げてみせた。「俺の職業倫理にかけて誓う。君に対して、決してよからぬ考えは抱いていない」

中条亜矢は彼の真摯な様子を見て、信じたい気持ちと信じられない気持ちがせめぎ合った。

信じられなくてもどうしようも...

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