第202章 それほど好きでもない

中条亜矢が彼のスマートフォンをいじるはずもなかった。

彼の座っていた場所にそっと置き、また元の位置へと戻る。

彼女はスマートフォンがないと落ち着かないというわけではない。ただこうして外の雨を眺めながら、今日起きた出来事を反芻していた。

今となっては、葛俞京が他の女とホテルにいたことを思い出しても、そこまで辛くはなかった。

どれだけ辛くても意味がない。もう起きてしまったことだし、散々泣いたのだ。これ以上どうしろというのか。

まさか、何事もなかったことにはできない。

それを受け入れることは、彼女にはできなかった。

葛俞京との甘い思い出を意図的に忘れようとするが、その光景は頭の中をぐる...

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