第205章 愛のためではない

鈴木莉緒には、森夫人のような気品あふれる貴婦人がこのようなことを口にするとは、想像もつかなかった。

「あなたと遥人さんに愛情なんてないことは、私も分かっています。今の二人の関係が感情で繋がっていないことも知っているわ。彼と離婚したいのなら、とても簡単なことよ」

「つまり、森遥人に不貞を働けと、そうおっしゃるのですか?」鈴木莉緒は信じられないといった様子だった。

森夫人は微笑んだ。「あなたが遥人さんに嫁ぐと決めた時、まとまったお金を渡すと約束しました。そして今、あなたが遥人さんと離婚するなら、やはりお金を差し上げます。莉緒、女というものはね、お金さえあれば何でも手に入るのよ」

鈴木莉緒は...

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