第207章 おめでとう、願いが叶った

鈴木莉緒に、未練などなかった。

自分の小さなアパートに戻ると、荷物はかえって増えていた。

森夫人にとっても、白石綾子にとっても、今の状況では、彼女と森遥人が離婚するのが最善の策だった。

とっくに離婚すると言っていたのに、ずっと森遥人が首を縦に振らなかったのだ。

今回ようやく承諾してくれたのだから、どうあっても後悔はできない。

翌日、鈴木莉緒は休みを取り、身分証と婚姻届の控えを持って、タクシーで市役所へ向かった。

森遥人はすでにそこで待っていた。

車を降りた鈴木莉緒は、彼に向かって手を振って挨拶する。

「おはよう」

森遥人は冷たい視線を一瞥くれると、くるりと背を向け、市役...

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