第241章 浅野静香は間違った人と結婚していない

 容疑が晴れたのだから、確かにお祝いすべきことだ。

 鈴木莉緒が再び雲居を訪れると、やはり過去の光景が脳裏をよぎり、胸が締め付けられた。

 事情聴取に連れて行かれた初日に森遥人と会って以来、彼は二度と姿を見せなかった。

 白石知世が亡くなったのだ。彼も悲しんでいるだろう。

 なにしろ、長年の知り合いなのだ。どんな関係であれ、多少の情は湧くはずだ。

 鈴木莉緒が浅野静香の家に着くと、エプロン姿の彼女がキッチンで忙しく立ち働いており、ドアを開けてくれたのは沖田譲だった。

「お邪魔します」

「ああ」沖田譲は鈴木莉緒と世間話をするタイプではない。知り合って二年余りになるとは思えないほど、...

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