第245話「森遥人と笹川久志、大乱闘」

鈴木莉緒は、森遥人が何をしたいのか分からなかった。

森遥人は自分など目もくれず、できれば一生顔も見たくないと思っているはずだ。そう考えていた。

「彼が?」笹川久志が訊ねた。

「え?」

「君の元夫」

鈴木莉緒はどこか不自然に笑った。言葉にはしなかったが、それが答えだった。

「君に未練があるんだ」笹川久志は言った。「男が女に執着するのは、まだ飽きてない証拠さ」

鈴木莉緒は彼を見上げた。

笹川久志は笑みを浮かべた。「俺は男だから、男の気持ちが分かる。実際のところ、感情の世界では男のほうが引き際は早い。まだ遊び足りない場合を除いてね」

「君が彼を無視できるのは、君がもうこの関係に飽き...

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