第265章 彼を一人にしてはいけない

鈴木莉緒は堂々としていた。

「ええ」

「帰り道、気をつけて」

「……」

てっきりまた何か揶揄されるか、せめて文句の一つでも言われると思っていた。

一瞬、自分が少し意地悪だったような気さえしてくる。

「他に何か?」

「この店、どうだった?」

「まあまあね」

「じゃあ、また今度来よう」

鈴木莉緒は黙り込んだ。

「もう切るぞ。運転に集中しろ」

そう言って、森遥人は先に電話を切った。

通話が終了したスマートフォンの画面を見つめながら、鈴木莉緒は言いようのない気持ちに包まれた。

彼女は家には帰らず、車を川辺に停めた。

車内で川風に吹かれていると、森遥人の顔が時折脳裏に浮かび、...

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