第270章 足がすくむ

停電はしばらく復旧しそうにない。

向かいのビルの光がこちらまで反射し、鈴木莉緒にもはっきりと見えた。

森遥人の呼吸音が耳元で聞こえる。こんな状況で彼と二人きりになるなんて、夢にも思わなかった。

その間、二人は無言だった。

稲妻は依然として走り、雷鳴は少しだけ小さくなっていた。

「雨、弱まったな」

鈴木莉緒もそれを感じていた。彼女は再びナビで検索してみると、渋滞は先ほどより緩和されており、時折赤い区間が残る程度だった。

「行くか?」と森遥人が尋ねる。

鈴木莉緒もこれ以上彼と一緒にいたくはなかった。「ええ、行きましょう」と彼女は言った。

電気は来ておらず、エレベーターも使えない。...

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