第272章 本当に私のことが好きではないの?

そう問われるのは、まるで降伏を迫られているかのようだった。

鈴木莉緒は微笑む。「ええ、好きじゃありません」

その時、ちょうど入口のドアを開けた森遥人が、その言葉を耳にした。

森夫人と白石綾子が振り返ると、その表情はどちらも何とも言えないものだった。

ただ鈴木莉緒だけが、平然とした顔つきを崩さない。

白石綾子は気まずそうに鈴木莉緒に視線を送った。

「あなた、どうしてここに?」森夫人は招かれざる息子を見つめた。まさかここを見つけるとは。思わず白石綾子の方を見る。彼女が呼んだのだと思ったのだ。

「私が呼びました」鈴木莉緒は隠すことなく言った。

森遥人は鈴木莉緒の隣に腰を下ろす。個室は...

ログインして続きを読む