第276章 キスで渇きを癒す

「欲しい」という三文字が、鈴木莉緒の頭の中で限りなく増幅していく。彼が二重の意味を込めて言ったようにしか思えなかった。

彼が欲しがっているのは、得難い経験。そして、欲しがっているのは……

鈴木莉緒が振り返ると、欲望に満ちた森遥人の瞳とちょうど目が合った。

彼女は濡れた服に包まれた彼の身体を見て、思わず自分の姿にも目を落とす。

唯一幸いだったのは、彼女が上着を着ていたことだ。彼のように、服が肌にぴったりと張り付いてはいない。

「もう見ないで」

鈴木莉緒は彼の視線に耐えられなかった。その視線が這う場所はどこも、異常な反応を示してしまう。

森遥人もまた、こうすべきではないと分かっていな...

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