第287章 無条件に信じる

浅野静香が顧客と打ち合わせをしている最中、沖田譲からの着信に、彼女の心臓がどきりと跳ねた。

無意識のうちに、昨夜尾行された一件を思い出していた。

彼女は顧客に一言断り、脇へ移動して電話に出る。

「沖田譲」

「今、大丈夫か」

「話して」

「しばらく海外で暮らさないか」

浅野静香はわずかに目を見張った。

彼女は唇をきゅっと結ぶ。「いつから?」

「できるだけ早く」

「昨日のことと関係ある?」

「ああ」

「わかった。少し時間をちょうだい。仕事の引継ぎをするから」

沖田譲はスマートフォンを握っていた。浅野静香に一体何があったのかと問われたらどう答えようかと考えていたのに、彼女は何も尋ねずに同...

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