第290章 かつての家、すでに滅びた

笹川久志と鈴木莉緒は、外の屋台で食事をしていた。

フクはその傍らで伏せ、耳を立てて警戒を怠らない。

笹川久志はわざわざ店主に頼んで肉付きの骨をもらい、フクに与えた。フクはそれを傍らで夢中になって齧っている。

二人はバーやフクのことを話題に、和やかに言葉を交わしていた。

浅野静香が去ってから、鈴木莉緒の周りには友人と呼べる人がいなくなった。笹川久志との間にはどこか一歩足りないものを感じていたが、たまにこうして一緒に食事をしたり、話をしたりするのも悪くはない。

「ちょっと、言いづらいことがあるんだが」

食事を終えると、笹川久志がどこか切り出しにくそうに言った。

鈴木莉緒は何のことか分...

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