第322章 彼女には大して誘惑力がなくなった

森遥人が目を覚ましたのは、五日目のことだった。

鈴木莉緒の怪我はあらかた治っていたが、彼女はずっと森遥人に付き添っていた。

彼が目を開けた瞬間、鈴木莉緒の心は雀躍し、瞳が輝いた。

「やっと目が覚めた!」

森遥人の視線が鈴木莉緒に注がれるが、言葉はない。

「森遥人?」鈴木莉緒は眉をひそめる。「どうしたの?」

森遥人はただ彼女を見つめるだけで、何も語らない。

鈴木莉緒は慌てた。

まさか、頭を打って記憶喪失になったのか、それとも言葉が話せなくなったのか?

彼女は居ても立ってもいられなくなった。

「医者を呼んでくる」

彼女は焦りのあまり、病室から出なくてもナースコールで医者を呼べ...

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