第354章 鈴木莉緒、手伝ってくれないかな

鈴木莉緒笹川久志がバーに戻ると、店内の視線が一斉に彼らに注がれた。馴染みの客たちが、こっそり抜け出してデートでもしていたのかと冷やかす。

鈴木莉緒はコートを脱ぎながら、冗談めかして笑った。

「お見合いに行ってたのよ」

誰もがそれを冗談だと分かっていて、その場は笑いに包まれた。

やはりこの場所が一番落ち着く。今日は正装していることもあり、鈴木莉緒は気分の良さに任せてステージに上がり、一曲歌い上げた。

歌い終えた直後、彼女の携帯電話が鳴った。

ディスプレイに表示された名前に少し驚きつつ、彼女は携帯を手にステージを降り、人目を避けて店の隅で通話ボタンを押した。

「安…...

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