第357章 犬をけしかけて噛みつかせる

鈴木莉緒が店に戻ると、笹川久志はすぐに彼女の唇が切れていることに気づき、眉をひそめた。

「ずいぶんと激しいな」

「あいつを出入り禁止にする看板でも下げられない?」

鈴木莉緒は苛立ちを隠せない。

笹川久志はその言葉を真剣に検討するように少し考え込み、店の外へ視線をやった。

「無理ってわけじゃないが……フクを外に繋いでおいて、あいつが来たら噛みつかせるか」

「しっかり躾けておいてよ」

「…………」

          ◇

鈴木家の別荘の改装が終わり、鈴木莉緒は引渡しの立ち会いに来ていた。内装は、母が生きていた頃とほとんど変わらない。

彼女はテーブルに母の写真を飾った。写真の中の女性は...

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