第363章 彼の唇は少し冷たい

森遥人の唇は、微かに冷たかった。

鈴木莉緒の睫毛が震える。

腰に回された手から、服越しに絶え間ない熱が伝わってくる。その熱は彼女の身体の奥へと侵入してきた。

「森遥人!」

鈴木莉緒はもう片方の手で彼を押し退けようとするが、彼はびくともしない。

森遥人の吐息が耳にかかる。続いて、冷たい唇が耳朶を甘噛みした。「お前が嫉妬しないなら、俺がする」

「……」

鈴木莉緒の心臓は、たったそれだけで激しく跳ね上がった。

喉が鳴る音が耳元で無限に増幅され、鈴木莉緒の心を掻き乱していく。

彼はいつの間にか彼女の手を離し、両腕を腰に絡めていた。首筋に口づけが落ちる。少しずつ、啄むように。「今のお前...

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