第365章 そんな追い方じゃ追いつけない

鈴木莉緒は、森遥人が肉まんを一口囓っては豆乳を啜る様子を眺めていた。それはまるで任務を遂行しているかのようで、早朝に熱々の豆乳とほかほかの肉まんを味わうという、ささやかな幸福感など微塵も感じられない。

森遥人は良家の出だ。これまで路面店で食事をする機会など、何度あっただろうか。

笹川久志の言葉を借りれば、まさに「霞を食って生きている」ような手合いだ。

彼らには、この味は勿体ない。

森遥人は肉まんを一つ平らげると、もうそれ以上手を伸ばそうとはせず、豆乳も半分ほど残していた。

「言い忘れてたことがあるんだが」笹川久志は森遥人を相手にするのは億劫だとばかりに、鈴木莉緒に向かって言った。「こ...

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