第369章 彼らは結婚していた

倉田美月はその声を聞いて、心臓がドクリと大きく跳ねた。

低く、磁性を帯びたその声は、そこいらの声優の美声など足元にも及ばないほど魅力的だった。

「あなたは静香の旦那さんの上司ですか?」倉田美月は単刀直入に尋ねた。

森遥人は視線を戻すと、さらに深くタバコを吸い込み、吸い殻を地面に投げ捨てて靴底で揉み消した。

「何か用か」先ほどと同じ言葉だ。

倉田美月は、とっつきにくい男だとは予想していたが、まさかこれほどとは思わなかった。

彼女は返答に窮してしまった。

「いえ。ただ……お近づきになりたいなと」

森遥人は彼女の意図を見透かし、冷ややかに言い放った。「俺には女がいる」

「……」倉田...

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