第373章 こっちで寝なよ ベッドは広い

結局、森遥人は車を降りなかった。

鈴木莉緒が彼と距離を置きたがっている。だから、彼はそうするのだ。

最後には食事をする機会さえ失ってしまう、それだけは避けたかった。

加賀信也を送り届け、雲居に戻る。森遥人が立ち去ると、残されたのは沖田譲と浅野静香の二人だけになった。

沖田譲は以前と変わらず、何一つ普段と違う様子はない。

ただ浅野静香だけが、もう寝室を別にしないという沖田譲の言葉を意識し続けていた。

エレベーターを降り、沖田譲が鍵を開ける。彼が中に入っても、浅野静香は玄関で立ち尽くして動けなかった。

「どうした、入らないのか?」

沖田譲が彼女の足元にスリッパを置く。暖房はすでに入...

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