第380章 恋雨

鈴木莉緒は車内で、安斉ノアの言葉を反芻していた。

他のことは、どうでもよかった。

だが彼女は言った。森遥人が彼女に電話をかけさせ、故意に莉緒をおびき出したのだと。

当時の光景を思い出すと、胸の奥がつかえて、今にも張り裂けそうだった。

ふん。

鈴木莉緒はふいに口を開き、自嘲気味に笑った。

やはり、森遥人にとって自分はただの遊び相手に過ぎなかったのだ。

はっ。

再び、乾いた笑いが漏れる。

胸から何かがすっと抜け落ちたようで、ひどく不快だった。

店の入り口の明かりがついたのが見えた。彼女は深呼吸をし、コートを手に取って車を降りると、ドアを閉め、コートを頭から被って足早に店へと向か...

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