第83章 恋愛の味

森遥人に用事があるというのは、本当に用事があった。

もともと鈴木莉緒は森遥人に付き添うつもりだったが、彼が会う人々が皆、非凡な風格を漂わせているのを見て、その考えを打ち消した。

「行かないのか?」と森遥人が尋ねる。

鈴木莉緒は首を振った。「行かない。どこかカフェで待ってる」

森遥人は彼女に無理強いはしない。

その後、二人はそれぞれ別々の道を行った。

鈴木莉緒は一人カフェにいても退屈だった。デザートを少し食べ、ホットミルクを一杯飲むと、浅野静香にメッセージを送り、時間があるか、一緒に買い物に行かないかと尋ねた。

浅野静香は分厚い書類の束の画像を返信してきた。【死ぬほど忙しい。】

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