第85章 彼は白石知世に、そんなに気にしなくなった

「別に、恨みはないわ」

森遥人は眉をひそめた。「なら、なぜずっと彼を見ている」

鈴木莉緒は無理に視線を逸らし、水を一口飲んだ。「クズ男がどんな顔してるのか見てただけよ」

「ん?」森遥人は腑に落ちない様子だ。

その時、紺野真琴も入ってきた。

化粧は直してきたようだが、目はまだ赤い。

鈴木莉緒にはそれが分かったし、桑田実にも分かった。

「あの二人はデキているな」森遥人は問いかけているのではなく、事実を断定していた。

鈴木莉緒は憤慨し、歯を食いしばる。「相手が紺野真琴かどうかは関係ない。彼女がいるのに、家がセッティングした見合いをするなんて。そんな男、クズじゃない?」

森遥人は少し...

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