第4章

誠治が私の番号に電話をかけた瞬間、私の心はさらに複雑に絡み合った。

受話器の向こうから、無機質な合成音声が響く。「おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため……」

彼は苦々しく眉根を寄せ、一度通話を切り、間髪入れずにリダイヤルする。

結果は同じ。

三度、四度……まるで何かに憑かれたように、彼は執拗に発信を繰り返した。七回目のコールが虚しく終わった時、ようやく彼は諦念の溜息とともに携帯を下ろした。

誠治は震える手で煙草に火をつけ、一口深く吸い込むと、意を決したように別の番号を呼び出す。

「もしもし、安藤か?中村だ」

『中村?』電話の向...

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