第7章

「かつて俺が自分の気持ちを諦めて、お前と綾音を一緒にしてやったのに……」

藤井隆史の声が、凍りついたオフィスに響き渡る。長年、友情という名の蓋で抑え込んできた怒りと後悔が、黒い溶岩のように溢れ出していた。

「誠治!お前は綾音に顔向けできるのか?俺に顔向けできるのか!」

その言葉は、鋭い刃となって誠治の心を抉った。彼は打ちのめされたように肩を落とし、その目は血走り、まるで檻の中で牙を抜かれた猛獣のようだ。彼はゆっくりと山口調査官の方を向き、尋ねた。

「綾音は……彼女は、一体どうしたんですか?」

彼の声は、か細く、今にも消え入りそうで、聞く者の胸を締め付けた。

なおも誠...

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