第106章

空気中には鼻をつく埃の臭いが充満し、ここが長い間打ち捨てられていた場所であることを物語っていた。

周囲からはポタポタと水滴の落ちる音が響き、近くに水場があることを告げている。

ガンッ! と重々しい音を立てて鉄の扉が閉ざされた。

直後、頭を覆っていた黒い布袋が乱暴に剥ぎ取られる。眩しさに瞬きを繰り返すと、目の前には見知らぬ男が立っていた。

顔を横切る刀傷が、その凶悪さを際立たせている。男は吊り目で私を射抜くように睨みつけた。

「おい、大人しくしてろよ。旦那に金を用意させろ。一千万だ。それがなきゃ絶対にお前を帰さねぇからな」

男は凄んでみせるが、私の直感がそうではないと告げている。金...

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