第11章

小林奈菜も、林田翔太という男は理解できないと言った。

「もしかして、あの田中奈美を正妻に据えようとしてるんじゃないかしら?」

私は眉をひそめた。田中奈美と林田翔太のやり取りを思い出すだけで、吐き気がする。

「じゃあ、あの女のために、私を殺そうとしてるってこと?」

心に怨嗟が止めどなく湧き上がる。私と林田翔太が共に過ごした長年の月日は、田中奈美との短い時間にも劣るというのだろうか。

私が怒っているのを見て、小林奈菜も慰めてくれた。「他にも理由があるのかもしれないけど、とにかく林田翔太って男はろくでもないわ」

「由依、あなたはもっと証拠を集めなきゃ。将来、一気にあのクソ野郎を叩...

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