第110章

西田蓮のあまりに理不尽な言い草に、私は呆れてつい笑ってしまった。

「キスしてなんて言ってない!」

西田蓮は鼻で笑った。

「そうか? じゃあなんで目を閉じたんだ?」

言葉に詰まり、彼を睨みつける。

だが次の瞬間、彼は再び覆いかぶさろうとしてきた。止めようとして手足をバタつかせたが、手首を強く掴まれてしまう。

その時、ドアをノックする音が響いた。

「北村さん、大丈夫ですか?」

北川歩美の声だ。私はほっとして叫ぶ。

「歩美、入って!」

西田蓮は身を起こしたが、その瞳には苛立ちが滲んでいた。

室内の空気に気付く様子もなく、北川歩美が入室してベッドの脇へ歩み寄る。

「申し訳あり...

ログインして続きを読む