第142章

私は首を横に振って、大丈夫だと断った。

そして北川歩美に目配せし、ちらりと林田翔太の方へ視線を流す。彼をそこで足止めしてほしい、という合図だ。

北川歩美はすぐに私の意図を察し、小さく頷いてみせた。それを見て、私はようやく安心して席を立った。

トイレの中に西田蓮の姿はなかった。やがて彼からメッセージが届く。文面は簡潔に二文字だけ。

『外だ』

レストランの扉を開けて外に出ると、コート姿の西田蓮が木陰でタバコを吸いながら、街並みを眺めていた。

「呼び出して、何なの?」

西田蓮は私を見て、ふっと笑った。

「あいつの自慢話、聞いててうんざりしないか?」

私は頷いた。

「でも、大島社...

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