第149章

回想が終わり、私は目の前にいる西田蓮を呆然と見つめ、うつむいて小さく息を吐いた。

「ごめんなさい、忘れていたわ」

「ねえ、考えたことある? 私たちはもう、あの頃のように無邪気ではいられないってこと。今の私たちの立場も、この数年間に経験したことも、すべてが邪魔をするの。昔に戻ることも、昔のように接することも、もう無理なのよ」

「だから……」

続く言葉を飲み込んだ私を、西田蓮はすべて理解しているかのように、静かに頷く。その黒い瞳が、すっと沈んでいくのが見えた。

「分かった」

彼はそれだけ言うと、背を向けてカートを押し、スーパーの出口へと歩き出した。今回は私の手を繋ごうとはしなかった。...

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