第161章

松本弘之たちは懐中電灯を手に、その場所へと踏み入った。地面に残る土の跡は生々しく、誰かが引きずられたような痕跡がはっきりと見て取れる。

小林奈菜がここで連れ去られたことは、ほぼ間違いないだろう。

付近には店舗が数軒あるだけだ。私たちはしらみつぶしに聞き込みを行い、防犯カメラの映像を確認して回った。もちろん、藪蛇にならないよう、別の名目を装ってのことだ。

やがて、ある防犯カメラが、付近を走る極めて不審な車両を捉えていた。

窓が完全に目張りされたハイエースだ。運転席の男だけが見えるが、背後にはカーテンが隙間なく引かれ、車内の様子は徹底的に隠されている。その男自身も、目元以外は布で覆い隠し...

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