第162章

暁の刻。朝の光が地平線からゆっくりと昇り、旧市街を照らし出す。

古びたビル群が、金色の光を浴びて輝いていた。

松本弘之は歯噛みしながら言った。

「もう待てない。本署に連絡してパトカーを寄越させてくれ!」

その時、私の携帯が明滅した。私は慌てて画面を開く。

「待って、待って! 田中美咲から連絡が来たわ!」

その場にいた全員の動きが止まり、緊張した面持ちで私を見つめる。

私は震える指で、田中美咲のメッセージを開いた。

そこには位置情報だけが送られてきていた。さっきよりも正確だ。マンションの棟と部屋番号まで特定されている。だが、言葉は一言も添えられていなかった。

警察に見せると、...

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