第192章

その時、ふとある人物の顔が脳裏をよぎった。石原実花の夫――あの刑事のことだ。

私はパンと手を叩いて注目を集める。「結局のところ、この件をどうするか決める権利なんて、私たち部外者にはないのよ。でも、一人だけその資格を持つ人がいるわ」

皆が一斉に私を見て、「誰だ?」と問う。

「石原実花の夫、石原大成よ」

松本弘之は眉を寄せ、記憶を辿るように言った。「ああ、知ってる。実家が資産家で、警察官は道楽でやってるような男だ。だが、石原実花への愛は本物らしい」

「彼にこの情報を伝えて、実花に話すかどうかを一任するのが一番正しい方法かもしれないわね。それに彼は仕事に関しては非常に厳格で古風、几帳面な...

ログインして続きを読む