第194章

松本弘之は、軽く咳払いをしてから口を開いた。

「林田家の葬儀に参列してもらいたい」

「我々の内通者として、だ」

その言葉に、私は受話器を握りしめたまま沈黙した。彼は構わず言葉を継ぐ。

「北村さん、今の君が林田家の人間と関わりたくないのは重々承知している。だが、現時点で堂々と葬儀に入り込めるのは君しかいないんだ。他の人間では怪しまれてしまう」

「散々悩んだ末の結論なんだ。実を言うと、西田蓮は反対していた。『彼女を危険な目に遭わせるわけにはいかない』とね。だから今まで連絡を控えていたんだが……明日が葬儀となれば、もうこれが最後のチャンスだ。背に腹は代えられないと思って、こうして電話した...

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