第205章

私は一瞬にして気が動転した。「お願い、追って! あいつは子供を探しに行ったのよ!」

思わず、叫び声を上げていた。

この深い山奥には何が潜んでいるかわからない。そのうえ、奥には崖がある。もし彼女が……。

彼女はついさっき、自分の一家三人を殺害したばかりなのだ。私の子供に何をしでかすか分かったものではない。そんな賭け、できるはずがなかった。

西田蓮が私の手を強く握り、低い声で囁く。「落ち着いて。大丈夫だから、俺を信じろ」

松本弘之も振り返り、私に告げた。「焦らないでください。私と北川歩美が先に行きます。必ず無事にお子さんを連れ戻しますから」

私はただ頷いた。礼を言う気力さえ残っておら...

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