第206章

松本弘之が顔色を変え、叫んだ。

「銃撃だ、伏せろ!」

 私たちの側の人間は一斉に地面に伏せた。私も西田蓮に強引に押さえつけられ、地面に這いつくばる。

 林田翔太は無様で、亀のように慌てて地面にへばりついていた。

 だが、私は頭を上げ、前方を――美波がいる方向を凝視し続けた。

「だめ! 美波!」

 あの子は銃口に晒されている。危険だ。

 今、立ち上がることはできない。できることなら、私が美波の盾になりたかった。

 続いて数発の銃声が響き、そのすべてが洞窟の入り口にいる二人を狙っていた。

 その時、田中奈美が不意に背を向け、美波をしっかりと懐に抱き込んだのが見えた。

 次の瞬...

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