第211章

私はそれとなく、陽菜の携帯に入っているあの不気味な笑顔のアイコンが誰なのか尋ねてみた。

すると陽菜は首を横に振った。

「ううん、誰でもないよ」

しかし、私と目を合わせまいとするその仕草から、誰かに口止めされているのは明白だった。あの人物が嘘をつくように教え込んだに違いない。

私はそれ以上追求しなかった。陽菜はいい子だ。たとえ母親に指示されたとしても不思議ではないし、彼女に罪はない。

それから数日、私たちは不安を抱えながら過ごしたが、庭の警報システムが鳴ることはなかった。

そうこうしているうちに、海市に戻らなければならない時期が近づいていた。

新学期まであと十日。帰りたくなくても...

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