第221章

彼の声は執拗に絡みつき、私を誘い出さない限り絶対に引き下がらないという意思に満ちていた。

まるで暗闇の中で蛇に睨みつけられているような錯覚を覚える。ぬめりとした舌なめずりが聞こえてきそうで、私の体から何かをねこそぎ奪い取ろうと狙っている気配が濃厚だった。

「ただお茶を飲むだけですよ。北村さんは、そんなに警戒されるんですか?」

私は少しの間思案し、やがて小さく頷いた。

「わかりました。そこまで仰るならお会いしましょう。ですがご存知の通り、今は入札を控えたデリケートな時期です。他の入札参加者に知られぬよう、極秘裏にお願いします」

「それと、特別扱いは一切しませんから。私はあの会社の筆頭...

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