第222章

父の墓前から立ち去る時、不意に勇気が湧いてくるのを感じた。父さんがくれたものだと分かった。

もう、何も怖くない。

家に戻って泥のように眠り、翌日、私は気力を充実させて蛯原理久との待ち合わせ場所へ向かった。

個室に入ると、彼は既にそこで待っていた。

私の姿を認めると、彼は薄く笑みを浮かべる。

「北村さん、お久しぶりです」

私も軽く頷き、手を差し出して握手を交わした。

席に着くと、テーブルの上にはすでに料理が並べられている。

目の前には湯気を立てるステーキ。

「以前、翔太君から聞いたんですよ。あなたの好物はウェルダンだって。だから特注しておきました」

「ここのレストランはなか...

ログインして続きを読む